これは日本の男性、そして女性の性の意識の変化をめぐる旅なのだ。
アダルトメディアが現実を浸食していることを誰も知らない。インターネットはセックスをとりまく環境を根底から変えてしまった。
いやま体験のない若い年代までもがAVでやっていることを当たり前と思うようになっている。いつのまにか「美少女」「熟女」「素人」などのジャンルが成立し、90年代には「痴女」、ゼロ年代にはついに「男の娘(こ)」が誕生する。
セックスしない男女が話題になる中、はじめてアダルトメディアの歴史を解き明かし、今現在進行しているセックスの状況をつぶさに描き出す革命的論考。
アニメやマンガや文学や美術も大切だ。だが、アダルトヴィデオの歴史を知らなければこの国の文化はほんとうにはわからない。
そのことを、この本で証明してみせた。安田理央に文化勲章を!
教科書にして学校で教えてもいいよね。
高橋源一郎(作家・明治学院大学教授)
【著者】安田理央
一九六七年埼玉県生まれ。ライター、アダルトメディア研究家。美学校考現学研究室(講師=赤瀬川原平)卒。
主にアダルトテーマ全般を中心に執筆。特にエロとデジタルメディアとの関わりに注目している。AV監督としても活動し、二〇一一年には、AV30周年を記念し、40社以上のメーカーが参加するプロジェクト「AV30」の監修者を務める。
著書に「裏デジタルカメラの本」(秀和システム)、「OPEN&PEACE 風俗嬢ヴァイブス」(メディアックス)、「日本縦断フーゾクの旅」(二見書房)、「エロの敵」(雨宮まみとの共著、翔泳社)など。