井手口 彰典(著)
発行:青弓社
四六判 縦188mm 横128mm 282ページ 並製
定価 2,000円+税
紹介
音楽メーカーから独立したCD制作を特徴とし、同人イベントや同人ショップを中心に流通する同人音楽。同人イベントM3の紹介と当事者へのインタビュー、『初音ミク』や「ニコニコ動画」も織り交ぜながら、拡大を続ける音楽文化の振源に迫る新鋭の音楽論。
目次
序章 本書の概要
1 現代文化としての同人音楽
2 本書の位置付け
3 術語について
4 全体の構成について
第1部 同人音楽
第1章 同人音楽への招待
1 即売会へようこそ
2 M3、スタート!
3 同人音楽の「中身」
第2章 概念としての同人音楽とその射程
1 複数の評価スケール
2 幻想としての「原―同人音楽」
3 同人音楽を支える社会的環境
4 環境に起因する傾向
第3章 同人音楽「と」ジャンル
1 同人音楽はジャンルなのか?
2 ジャンルの変転性と固定性
3 混在と越境
4 スティグマとエンブレム
第4章 同人音楽批評は可能か
1 同人音楽の「語りにくさ」
2 新たな「語りにくさ」とアレンジ系同人音楽
3 群体としての音楽
4 「うごめき」とどう向き合うか
プロムナード
A 音系同人活動の過去・未来――相川宏達氏インタビュー
1 M3の誕生
2 「音系」の意味
3 変化する音系
4 これからのM3
B 表現のための「場」を求めて――寺西慶祐氏インタビュー
1 即売会の立ち上げに向けて
2 名前と理念
3 M3「以前」
4 グレーゾーンと理論武装
まとめ
第2部 同人音楽の周辺
第5章 現代的想像力と「声のキャラ」――『初音ミク』について
1 『初音ミク』の新しさ
2 現代社会での「キャラ」
3 魅力の所在
4 初音ミクと「P」
5 再編集が拓く地平
第6章 オンライン世界での協働――『組曲『ニコニコ動画』台湾返礼』について
1 組曲の登場と波及
2 返礼プロジェクトの成立と推移
3 舞台裏
4 プロジェクトが残したもの
第7章 純愛者であることの困難――アマチュア音楽について
1 アマチュアのコノテーション
2 近世―近代日本の状況
3 機能から純愛へ
4 アマチュアスポーツ論への目配り
5 現代における強化と排斥
終章 ふたたび、同人音楽
1 「妨げられない」実践
2 神話化されることの危険性
3 音楽する力
4 同人音楽の可能性
5 社会への架橋
初出一覧
あとがき
著者プロフィール
井手口 彰典 (イデグチ アキノリ) (著)
1978年、広島県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。2007年10月から鹿児島国際大学福祉社会学部専任講師。専門は音楽学・音楽社会学、特に現代の音楽文化について。『ネットワーク・ミュージッキング――「参照の時代」の音楽文化』(勁草書房)で第25回「テレコム社会科学賞」奨励賞を受賞。個人ウェブサイトはhttp://ha2.seikyou.ne.jp/home/Akinori.Ideguchi/
上記内容は本書刊行時のものです。