目次
はじめに――理念が形態となるとき
第1章
色と形の組織学
無対象から構成へ
抽象と心理
第2章
社会主義の造形
革命後の芸術政策と前衛たち
インフクと構成主義の誕生
芸術家は工場へ!──生産主義理論
身体を管理する──プロレトクリトの活動
センスは誰でも習得できる
第3章
社会主義に住まう
家具は複数のかたちを持つ
労働者クラブ──プロレタリアートの情報センター
事物は同志──一九二五年パリの構成主義
所有から使用へ──共同住宅が見た夢
第4章
社会主義に暮らす
アジテーション陶磁器
タトリンと素材の文化
見せる服/活動する服──生産服と幾何学ドレス
第5章
社会主義を見せる
世界の解釈から構築へ
──リシツキーとスプレマチズム
転倒/平面/運動
──プロウンとプロウン・ルーム
空間を読む、ことばを見る
──展示空間としての本
視覚の革命/革命の視覚──ラクルス
視覚的な織物──フォトシリーズ、フォトエッセイ
第6章
社会主義を報せる
ポスター──イーゼル絵画「以降」のイメージ
ネップと広告──ステンベルグ兄弟、ロトチェンコ
映画のモンタージュ理論
情報の組織化──クルツィスのアジテーション
最後の実験場──『建設のソ連邦』とフォト・アルバム
おわりに――コンストラクターは誰か
註
あとがき
人名索引
前書きなど
《構成主義者たちは「デザイン」という概念が生まれる以前、あるいはちょうど生まれつつある時期に、ものづくりを通して新しい生活をつくり、大衆/マスを相手に情報を伝達するという課題に取り組んだ。シンプルで機能的・幾何学的な構成主義の造形は、外見上の新しさだけでなく、社会主義という理念に支えられていた。まさに理念が形態となるとき、ロシア構成主義は誕生したのである。》――「はじめに」より
版元から一言
わたしたちの生活をとりまくあらゆるデザインや流行の原点にあたるのが、ロシア革命の前後に誕生した《ロシア・アヴァンギャルド》です。とりわけ《ロシア構成主義》は、革命後の暮らしや文化と密接に結びつけられながら、スターリン時代を経て、独自の足跡をたどりました。この政治と文化の強烈な交錯から、いったい何が生まれたのか? 著者による渾身の書き下ろしとなる本書で、ぜひご確認ください。