美術史上最大のニセ札事件!1970年の現代思潮社版を復刻!
法廷、メディア、社会をも「作品」と化した戦後最大の芸術作品=模型千円札事件。
被告である赤瀬川みずから事件を記述し、文筆家・赤瀬川原平の誕生を告げる幻のデビュー作。
1970年4月24日、最高裁は、本書の著者赤瀬川源平の事件の上告を棄却した。いわゆる”千円札裁判”の終幕であった。懲役判決にあった著者は、現在、執行猶予の身である(1970年当時)。
「裁判は終わったが、事件はいつ終るとも知れない。いや、24日の朝から何かが新しく始まりかけたという実感を、私はもった」
―とこの「原型的な事件」に終始深くかかわった瀧口修造は、有罪確定直後に記した。
謎めくハイ‐レッド・センターの”レッド”氏赤瀬川源平とは?司法権力の地価倉庫にとらわれの〈千円札〉とは?
ネオ・ダダ、反芸術、ハプニングと逆接して、浮揚を拒む鉛の蹠で最低位を踏みながら、『表現』と『国家』に「過激にして愛嬌」(宮武外骨)ある舌鋒を注ぐ赤瀬川源平の文章群。
書きおろし100枚を含むこの初の著作は、犯行者みずから事件を記述し、〈梱包〉・〈零円札〉・〈激画〉などの不敵な作品行為と携えるエッセイを連ね、黒いユーモアで芸術体制と貨幣制度を塗り潰す。
【付録】
瀧口修造による零頁「原型的な黒いユーモア」